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​中南米の衣装展

 更新が遅れましたが、今回は中南米の衣装をご覧いただきます。この地域のコレクションはグアテマラとペルーのものから始まりましたが、すべて日本国内で収集してきたものでした。
 昨年5月には初めて太平洋を渡りメキシコの現地博物館で伝統衣装を拝観したり、メルカド(市場)を見物してきました。今回は中南米各地に伝わる伝統衣装の貫頭衣に注目してその魅力に迫りたいと思っています。

 2024年11月10日よりネットギャラリーにて公開 

GALLERY 

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 メキシコ、オアハカ州の古代都市モンテアルバンの遺跡(1~9世紀)からケチケミトルの原型と認められる貫頭衣を着装した土偶の副葬品が出土していたことを知ったのは最近のことでした。「それらは前面の角が直角ではなく丸みを帯びていたり、ほぼ丸形であったりしているが形式的にはケチケミトルである」とみなされているようです。昨年、東京国立博物館で開催された古代メキシコ展にはバレンケ遺跡出土の「赤の女王レイナ・ロハ」が展示されていました。古典期マヤの最も有名なパカル王(在位615~683)の王妃と確認されたこのミイラは、マヤ王族の衣装として特徴的なクプと呼ばれる肩と胸を覆うケチケミトルの原型に遡る実物のケープで覆われていて大変驚きました。「このケープは様々なヒスイ輝石岩からなる170以上の円盤状の小片で装飾されており、中央下部には小さな花の形をした石と猿頭の形をした石がついている。この様な衣服を身にまとったマヤの王族(主に女性)の描写は非常によく見られ、それらの生地や装飾モチーフは様々であるが形や機能は同じであった」と解説されていました。1400年もの時間を遡るケチケミトルを拝観して今日に伝わるマヤの子孫の衣装文化にますますの興味が湧いているところです。

​中南米衣装の貫頭穴

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インディアンの皮のポンチョは貫頭部分が切り取られた後に補強と装飾、着装のしやすさを兼ねて茶色の皮をパッチワークで縁取られています。

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メキシコオアハカ州アムズコ族の三枚パネルの丈の長い貫頭衣、襟ぐりは前後とも同様に切り抜きボタンホールステッチでほつれ止めがされています。

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グアテマラ、カクチケル族パツン村のウイピール、黒地縞織布二枚を接ぎ合わせ、貫頭部分は円形に切り抜き、装飾とほつれ止めをかねて色鮮やかな花模様の刺繍がほどこされています。

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ベネゼエラのブラウス、前後の身頃布の中央に頭を通す広い円形穴をあけて、その後ニャンドーテのレース編みのような刺繍を施し飾り紐の通し穴を作り、紐を引き締めて襟ぐりの広さの調節をします。

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​メキシコ、プエブラ州オトミ族の毛織物の貫頭衣ケチュケミトル、2枚の織布(四方みみ?)を接ぎ合わせて仕立てられています。

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​コスタリカのお土産でいただいたもので詳細不明、同様の二枚の織布を接ぎ合わせます。その際、頭と腕を通す穴を接ぎ残していますが、装飾、補強のためにあらたな始末はされていません。

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グアテマラ、カクチケル族サンタマリアデフィスス村の三枚パネルのウイピール、貫頭部分は織布を四角に切り抜き黒ビロード布でくるんで織り糸のほつれを防いでいます。

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アルゼンチンの獣毛幅広織物で仕立てたポンチョです。最近の量産品のようですが赤地に黒の縦縞、襟ぐりの黒のふち飾りが印象的です。赤い染料はオオギサボテンにつくカイガラ虫(別名臙脂虫)から作られました。​

 

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